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2008/01/13

私が中学の頃だから、30年ほど前になるが、NHK総合で、芥川也寸志と黒柳徹子が司会を務めた、「音楽の広場」という音楽番組があった。

その、何の特集の回であったか忘れたが、芥川さんが、「童謡の『うみ』は、たった8小節の中に、海があって、月が昇って、陽が沈んで、こんなに小さくて大きな歌は、世界中捜しても他にはない」というようなことを言っておられた。

僕はこの歌が好きだったので、この言はとても嬉しかった。

ちなみにこの文部省唱歌「うみ」は、昭和16年3月出版の「ウタノホン」に掲載されている。昭和16年といえば、12月には真珠湾攻撃で大東亜戦争が幕を開ける、情勢の緊迫した年であったはずだが、この時期にこのようなゆったりした歌が世に出ているというのは、不思議な気がする。

ところで、唱歌の中から「海」にかかわりのあるものを拾ってみると、以下の通りとなる(「日本唱歌集(堀内敬三・井上武士編、岩波文庫)」による)。

 ・勇敢なる水兵(煙も見えず雲もなく・・・) 2/4拍子
 ・港(空も港も夜ははれて・・・) 3/4拍子
 ・七里ヶ浜の哀歌(真白き富士の根 緑の江ノ島・・・) 6/8拍子
 ・われは海の子(われは海の子 白浪の・・・) 4/4拍子
 ・海(松原遠く消ゆるところ・・・) 3/4拍子
 ・濱邊の歌(あした浜辺をさまよえば・・・) 6/8拍子
 ・ウミ(ウミハ ヒロイナ、大キイナ・・・) 3/4拍子

7曲中3曲が3/4拍子、2曲が6/8なのである。
ちなみに、本書に掲載された約150曲中、3/4拍子は16曲、6/8拍子は7曲しかない。

日本人は3拍子が苦手という俗説もあるが、その日本人が作曲した「海」の歌のほとんどが3/4、6/8拍子であり、しかもなけなしの3拍子、6拍子の2割3割を占めているというあたりに、明治大正昭和の唱歌作曲家達は、海を表現するには3拍子、6拍子が適切なのだという結論に達していたのではないか、などと深読みもしてみたくなる。

そういう目で見ると、今回の「海」は3拍子と6拍子が多用されていて、ドビュッシーさんさすがだなあ、というか、日本人も頑張ったんだなあ、とか、いろいろ考えてみるのである。

【団員のブログより転載】

そんなドビュッシーの「海」が聴ける第41回定期演奏会(港北シンフォニーコンサート)は、座席にゆとりがあるため申込期限を1月15日まで延長しました。どうぞこの機会に奮ってご応募下さい。

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コメント

まさか「海」が昭和16年の歌だとは思いませんでした。3拍子のお話はとっても面白いですね。波が寄せて返すのを3拍子になぞらえたのでしょうか?
行ってみたいな「よそ」の国、
やっぱり昭和16年の時代背景でしょうか。

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