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2008/02/02

ぼく、晋による「牧神の午後への前奏曲」曲目解説

来る2月11日の当団第41回定期演奏会は、ドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」で幕が上がります。
今日は一足お先に、当日配布されるプログラムに載る曲目解説に、ちょっと蛇足を加えた形でお届けします(笑)

クロード・ドビュッシー(1862-1918)が1894年に書いたこの曲は、同じくフランスの詩人、ステファヌ・マラルメによる牧歌「半獣身(牧神)の午後」にインスピレーションを得たものと言われており、フランス音楽のみならず西洋音楽史上においても大きな意味のある作品である。かのピエール・ブレーズ(指揮者・作曲家)をして「<牧神>のフルートと<雲>のイングリッシュホルン以来、音楽の息遣いが変わった」と言わしめるほどであり、この作品の現代音楽における重要性をよく表している発言と言えよう。

マラルメによる詩は長く難解なのでごく大雑把に内容を紹介すると、「真昼の眠りから目覚めた牧神が葦笛を吹こうとすると、水浴びをしているニンフ(妖精)がいることに気がつく。彼は二人のニンフを腕に抱えて薔薇の茂みに連れ込もうとするが、彼女らは巧みにその腕からすりぬけ、逃げていく。追うのに疲れた彼は美の女神である彼女らを抱く夢想をいだきつつ、ふたたび眠りの世界へと沈んでいく。」・・・といったものである。

この曲はまさにこの情景の「印象」だけを「音」にしているように思え、決して特定の「絵」や「おはなし」を表現しているものではない。空想、いや妄想ともいうべきか、まさに「夢のような」さまが皆様おのおののアタマの中に浮かんでくるであろう。

我々団員は新しい曲が決まるとたいてい「スコア(総譜・・・すべてのパートの楽譜が並べて書いてある指揮者用の譜面の縮小版)」を買い求めるのだが、ものによってはその作品の詳しい解説が付されていることも多く、おれが持っているヤツもそのひとつだが最後のひとくだりに気になる一文がある。以下引用。「演奏者が、きわめて小さな細胞にまでわたるこの動機の緊密な関連を感じ取り、互いの関係を把握して構造や響きのバランスを作り出すことに成功するならば、この “暗示に富んだ芸術” が正しい姿で示されることだろう。さもなければ、この偉大な芸術は、あいまいな陶然とした響きのもやにおおわれてしまうのである・・・マックス・ポンマー」 ・・・

おれがこの文章を読み「乗り番(この曲を演奏するメンバーになること)希望をためらったことは言うまでもない。なぜならば、もしおれが演奏したとすれば、「さもなければ」以下の通りになってしまうことが簡単に予想できるからである。 ・・・みんな、ガンバッテね。

ところで。

最後に今回この文章をおれが書くはめになったいきさつをご紹介しておく。それは団員の独り言がきっかけだった。

練習某日「演奏会係」さんから「曲目解説文執筆者募集」の旨連絡があり、「牧神」を書いてくれる方を引き続き募ります、ってトコロでホルン奏者がボソッと「そりゃ彼しかいないでしょう・・・・だって・・・<ぼく、しん。>じゃない?

これを聞きつけたとなりに座っていた団員がガマンしきれずに某BBSに投稿し、反響(?)をよぶことになった。さわぎはだんだん大きくなり、あげくに「事態収拾のため本人がなんとかしろ」と「エンソウカイガカリ」さんから命令、じゃなかった「要請」が舞い込みここに至るのである。

ここまでお読みになればオチも予想できるであろう。そう、おれの下の名前は「晋(しん)」なのだ

実はもうずいぶん前のハナシだがこの曲をやると決まったときからイヤな予感がしていた。というのも当然学生時代からこんなカンジで名前をネタにからかわれることはしょっちゅうだったからである。が、しかし、今回はもうリッパなオトナ集団であるこの区民響である。イイトシした連中がまさかこんなベタなギャグをかますとは考えにくいからな・・・と思っていたのだが・・・

ま、皆さんはそんなこと気にせずに、「牧神」、お楽しみください。

こんな「牧神の午後への前奏曲」が聴ける港北区民交響楽団第41回定期演奏会@横浜みなとみらいホール。入場整理券をお持ちの方、どうぞ忘れずに(無料公演だと、忘れられちゃうことが多いんで・・・)ご来場下さい。

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