指揮者インタビュー
恒例となりました指揮者インタビュー。第46回定期で指揮をお願いする小森康弘先生は弱冠34歳。団員の殆どが人生の先輩という中、厳しくも温かい練習を展開されます。今回も定番の質問でしたが、ざっくばらんにお答えいただきました。
○指揮者になろうと思われたきっかけを教えてください。
実ははっきりとしたきっかけはありません。
僕は最初の大学が教員養成課程で、音楽の先生になろうと思っていました。ところが4年生の時に、音楽を勉強したい欲が出てきて、音大に行きたいと思ってしまったのです。僕はピアノを始めたのも遅かったし、楽器で音大に入るのは無理だったので、先生に相談したところ、作曲か指揮ならいけると言われました。
僕はその頃学生オケにも入っていましたし(楽器は打楽器)、地元の市民オケにもよく出演していたので、オーケストラというもの、そして指揮者の仕事にとても興味を持っており、それならば指揮をやってみようと思い、学部4年の時に芸大を受けました。その時はまだ指揮のレッスンも充分に受けておらず、完全に準備不足でしたが、とりあえず一度受けてみて、もしダメだったらあきらめようと、お試しの感じで受けてみたのですが、なんと最終選考まで残ってしまって。。「もう1回やれば受かるかも」と調子に乗ってしまい、再受験をしました。
結局何度か浪人したのですが、見事合格(笑)。晴れて音大で、素晴らしい先生、仲間に囲まれて音楽が勉強できることになり、今に至ります(笑)。
○お好きな(尊敬する)音楽家を教えてください。
僕が師事した先生は全て尊敬しています。
ただ指揮というのは本当に十人十色で、それぞれ良いところもあり、悪いところもあります。なので一人に絞ることは不可能ですが、それぞれが素晴らしい芸術性をお持ちで、とても素晴らしい指揮者ばかりです。
○クラシック以外でお聴きになる音楽は?
ジャズ、ボサノヴァが好きですね。僕は普段は静かな曲が聞きたいので、ビル・エヴァンスやジョアン・ジルベルトなどが好きです。歌謡曲はあまり聞かないです。
○休日はどのように過ごされますか?
ひたすら寝てます。(笑)
長い休みが取れたときはヨーロッパ旅行。時々向こうに行って音楽的充電をしてきます。
○港北オケの印象は?
とにかく皆さん音楽を楽しんでいる!
たとえ弾けない所があっても、決してネガティヴにならないし、苦しくて大変な練習でも、それを逆に楽しんでいる印象があります。これってなかなかできる事ではないし、こういうオーケストラはなかなかありません。指揮者としてはオケの雰囲気が暗くなってしまうのが一番辛いので、そういう意味ではとてもやり易いオケです。
○練習中はどのような事に気を使っていますか?
僕ははヨーロッパ留学を経験して、オーケストラの在り方が日本とヨーロッパでは少し違っているなと感じました。
ヨーロッパのオケは、もちろん指揮者の言うことを聞きますが、オーケストラが主体となって演奏する、という意識が強いように思います。指揮者はある意味付属品で、我らが主役だ!って感じで皆演奏してます。
日本は、どちらかというと指揮者の言うとおりに演奏しなければならない、もっと言うと指揮者の言うこと以外のことはやってはいけない、みたいな空気があります。まるでオーケストラが指揮者の奴隷みたい。僕は日本のそんなオーケストラのあり方を変えて行きたいと思っています。
だから僕は、指揮者の言われるがままでなく、演奏者が弾きたいように弾いてほしいと思ってるし、練習の段階でもオケの方から積極的にガンガン表現してもらうにしています。時々指揮者ばかりが大暴れして、オーケストラはそれに受身的に演奏しているということがありますが、そういうのは嫌ですね。練習の段階では指揮者が厳しくオケをトレーニングしますが、本番ではそこから開放されて、オケが主体的に伸び伸びと演奏する、これが僕の理想です。
練習ではそういう方向性になるように心がけています。
○今回のプログラムの聴き所をお願いします。
どの曲もオーケストラの醍醐味を味わっていただけるプログラムだと思います。
ボロディンはロシアの大地を思わせるダイナミックなサウンド、ショスタコーヴィッチは様々な楽器の名人芸が楽しめます。そしてメンデルスゾーンはロマン派の香り漂う切ない旋律、情熱的な表現。
それぞれの曲で、皆様なりの色々な場面を想像しながらお聞きください。
○もしも指揮者にならなかったら何をされていたでしょうか?
先程も申し上げましたが、音楽教師になっていたと思います。
ただ自分の学力を棚に上げたとして、なりたかった職業は、外科医と飛行機のパイロットです。なぜだかわかりませんが、人間の命を預かることにカッコ良さを抱いていたのかもしれません(笑)。
○最近感動したことは?
大晦日に第九を歌ったこと。
去年(2009年)の大晦日にベートーヴェンの交響曲を1日で全部演奏するという、もの凄い演奏会がありました。指揮は我が師匠小林研一郎で、オーケストラはN響メンバーを中心に編成された特別オケ。僕は第九交響曲の合唱指導をしていたのですが、師匠命令で合唱を歌うことに。。
第九は夜中の11時過ぎに始まり、第3楽章の天国のような美しい調べの中で新年が明け、第4楽章の歌へと続きます。
僕は普段は客席に向かって演奏することはないんですけど、この時は満員の聴衆の熱気を正面から感じながら、師匠の神業のような指揮をかぶりつきで見つつ、シラーのドイツ語の意味を一つ一つかみしめながら歌いました。そしてそれがスーパーオーケストラの輝きに満ちた壮絶な演奏と相まって、その中に自分がいることが信じられないような、もの凄い世界が繰り広げられました。
火花のようなフィナーレが終わった後の聴衆の、爆発するような拍手とスタンディングオベイションを目の当たりにして、身震いするほどの感動を覚えました。この体験は自分の中でかなり強烈だったし、これからも忘れないでしょう。
○ご自身を動物にたとえると?
自分では犬だと思っているのですが、大部分の人にシロクマと言われます(笑)。ちなみに動物占いは猿。
こんな若々しい小森先生が振る第46回定期演奏会、応募締め切りは5月14日(必着)。
まだの人は、今スグ往復ハガキで申し込もう!!
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指揮者インタビューを読んでとても親近感が沸きました。
インタビューこれからも続けて欲しいです。
投稿: ブライダルエステ | 2010/05/17 13:31