30周年記念コンサート/曲目ご紹介:L.v.ベートーヴェン 「フィデリオ」序曲
「フィデリオ」はベートーヴェン唯一のオペラ作品です。主人公のレオノーレが男装してフィデリオと名乗り、夫を牢獄から救い出すという物語。後のウエーバー、ワーグナーに続くドイツロマンティックオペラの先駆をなすものでした。第一稿初演は1805年のウィーン。ナポレオンによるウィーン占領の直後で、3日間上演されたが大失敗。翌年、改訂を加えた第二稿がウィーンで公演され好評だったものの、劇場主との金銭トラブルで公演は中断。さらに改訂を加え、最終稿の公演は1814年のウィーン。大成功でした。ベートーヴェンは改訂の度に序曲も書き換え、レオノーレ第2番、第3番と呼ばれている序曲、死後に出版された第1番も書かれていましたが、最終稿では「フィデリオ序曲」が新たに作られ、今日までこの形で演奏されています。
さて、ここで各序曲の調性に注目してみます。レオノーレ第1番、2番、3番は全てハ長調です。また、オペラ「フィデリオ」の最後はハ長調で終わります。形式美を尊重する古典派の音楽は、殆どが先頭と最後は同調または同主調であり、ベートーヴェンの全交響曲、モーツアルトのオペラ、交響曲などはこの戒律(?)を守っています。しかし、「フィデリオ序曲」はホ長調で書かれています。ハ長調は、単純素朴で明るく確然とした感じであるのに対し、ホ長調は古風で高貴な印象、透明な美しさを持った調性といえます。名曲の誉れが高い「レオノーレ第3番」があったのになぜホ長調の「フィデリオ序曲」を作ったのか? 理由は、前者は序曲としては重厚長大すぎました。なので、戒律を破ってまでも、軽快な感じのホ長調で作ったと考えられます。「これからオペラが始まるよ!」というワクワクした気分を誘うような曲想です。
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