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2019/01/06

「版」について

今回の演奏会では、ブルックナーの7番をハース版で演奏します。
本日は「版」に関する団員の蘊蓄をお届けします。

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ブルックナーの交響曲は、作曲時の姿に対し、世間に受け入れられるためには、短縮やオーケストレーションの変更が必要と考えた彼の弟子たちが手を加えた状態で演奏されることが多かった。

この改作は、彼に無断であったり、無理に同意させたりして行われたため、後に彼自身による修正・改訂が行われた。

さらに彼の死後、系統的な校訂・編集が行われた結果、同じ曲に対して、ローベルト・ハースによる校訂版、レオポルド・ノヴァークによる校訂版、という異なるスコアが存在することになった。

第七番は、この2版のあいだで、異なるのは打楽器の有無、程度の、顕著な差が無い珍しい例である。ところが、1音だけ、流通している音源で、明らかに音が違うところがある。

これがまた、ハース版とノヴァーク版、加えて自筆譜でも同じ音であるのに対し、ブルックナーの生前に最初に出版された、グートマン社の版で、音が半音違っているのである。

場所は、第二楽章の練習番号Xから始まるワーグナーチューバによる葬送音楽の5小節目(全体の189小節目;下図)、1つの八分音符に[ナチュラル]が、ついているか、いないかの差なのだが、これがまた目立つ箇所で、この1音でこの場面の雰囲気が全く変わってしまうと言っても過言ではない。

Natural

そもそも自筆譜が[ナチュラル]ありならば、あるのが正解、となりそうなものだが、実際の音源では、[ナチュラル]なしの演奏が半々かそれ以上になっている。私見だが、むしろ[ナチュラル]なしの方が、ブルックナーらしさ、が際立つような気がして、なかなか悩ましい選択肢となっている。

以下に、YouTubeで拾えるありなしそれぞれの演奏をあげてみた。興味のある方は聴き比べていただきたい。ちなみに今回は[ナチュラル]ありで演奏される

[ナチュラル]あり:マタチッチ/チェコフィル、尾高忠明/N響、チェリビダッケ/ベルリンフィル、マゼール/ベルリンフィル、ベーム指揮 ドレスデンシュターツカペレ 等々

[ナチュラル]なし:ヴァント/ベルリンフィル、ハイティンク/ウィーンフィル、カラヤン/ベルリンフィル、ヨッフム /ウィーンフィル、アバド/ルツェルン祝祭O、フルトヴェングラー/ベルリンフィル、ワルター/コロンビアSO、シューリヒト/ハーグフィル、ブロムシュテット/ドレスデンシュターツカペレ 等々
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演奏会場にはチラシを見せるだけで入場できます。
足をお運びいただければ幸甚です。

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