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2022/05/14

インタビュー 直井大輔先生に聞く

2020年4月の第66回定期演奏会を振っていただく予定だった直井先生。コロナの影響で当該演奏会は中止となってしまいましたが、改めて来る5月29日に開催される第70回定演の指揮をお願いすることになりました。演奏会に先立ち、直井先生にいろいろ伺いました!

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Q1.ズバリ、港北区民響の印象を教えてください。
音楽好きの集まりという素敵な雰囲気。また以前にも感じていましたが、木管のセクションとしてのまとまりが良いと思います。音楽好きであることは、楽器を続ける根源的なことなので大切にしたいところですが、ドヴォルザークなどはそれぞれの思い入れが結構強く出てしまって、逆にまとまりにくいことが多いです。皆さんの思いが同じ方向を向けるかどうかがカギなので、頑張りたいと思います。

Q2.音楽との出会いはどのようなものだったのでしょうか?
小学4年生の時に吹奏楽部に入ったのですが(トロンボーン担当)、6年生の時に顧問の先生が変わり、その先生と出会ったことが音楽的な目覚めでした。その頃、親戚から古いアップライトピアノを譲り受け、独学で弾いて遊んだりしていました。

Q3.指揮者になろうと思ったきっかけはどんなことでしょうか?
前述の小6のときに赴任してこられた先生は、吹奏楽部でもオーケストラ作品をたくさん取り上げる先生で、ヴィヴァルディ「四季」からホルスト「惑星」まで、色々な作品を吹奏楽でやりました。その頃からミニチュアスコアを見るようになり、移調楽器も実音で読む習慣が身に付きました。部活で取り組んでいる曲や、レコードで聴いている曲のミニチュアスコアを読みながら、家のピアノで弾いてみたりしていました。具体的に「指揮者になりたい!」と思っていたわけではないですが、指揮者への憧れみたいなものは、その頃感じていたかもしれません。

Q4.好きな音楽家や音楽作品とその理由を教えてください。
モーツァルト、ブラームス、そしてチャイコフスキーをはじめロシア音楽が好きです。
ただ東京藝大に在学中、精神的な大スランプに陥ったことがあり、その時は一切音楽を聴きたいとも思わなかったし、スコアを開きたいとも思わなくなりました。そのような状態の中、唯一聴けてスコアも開くことが出来たのが、バッハの「マタイ受難曲」。日々を過ごすことが辛かった中で、この曲に触れている時間だけは心が和らぎ、感情が解きほぐれていくように感じられました。こぼれる涙に自分の命を感じ取り、いつしか意欲を取り戻していくことができました。いま思えば、音楽の力を身をもって再認識できた経験だったなと。この「マタイ受難曲」は大好きであり、特別な作品です。

Q5.オーケストラの練習中、心がけていることはどんなことでしょうか?
奏者の方に対するリスペクト。もちろん指揮者の役割として、リードすることやまとめることは大切なのですが、出来るだけ一緒に作っていく意識を持っていただけるように心がけています。また、曲の背景、作曲家の人柄など、演奏のヒントになりそうなお話を織り交ぜたりしています。

Q6.沖縄がお好きで、三線も演奏されるとのことですが、沖縄の音楽とクラシック音楽の共通点などはありますか?

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最近はあまり三線を弾いてないのですが、沖縄の音楽は身近に感じています。沖縄で仕事をするときもほぼ毎回、一曲は琉球民謡をオーケストラアレンジした作品が入っていたり、年に数回は琉球芸能の方々とのコラボ公演もしています。特有の音程の取り方やリズム感など、西洋の和声法、記譜法では表しきれないところがありますが、沖縄の方は自然に処理をしながら演奏されています。こうした民謡特有のものは世界各地にあり、民謡的な五音音階はどこか懐かしさのような感情を生み出します。ハイドン104番やベートーヴェン6番もクロアチア民謡のメロディが使われているのは有名ですし、のちのドヴォルザークなど国民楽派の作曲家たちは、民謡を積極的に取り入れた民族主義的な作品をたくさん作曲しました。それらは自国民はもちろん、世界中の人々を楽しませ続けています。こうした曲を演奏する際は、彼の地の歴史や文化、風景、そして料理などを知ることもヒントになったりしますが、根っこのところでは洋の東西を問わず、昔も今も、人の心は同じなのかもしれません。

Q7.音楽以外の趣味や興味のあること、コロナ禍で新たに始めたことなどありますか?
人生初の長髪にチャレンジ中。コロナ禍でなかなか髪を切りにいく機会が減ってしまい伸ばすようになりました。髪質だけはわりと褒められることがあって、これは父親の遺伝で形見のようなものなので、いつかヘアドネーションできたら良いなと思うようになりました。ロン毛経験者の話では「どこまで伸ばすの?」「切ってサッパリしたほうがいいよ」と毎日挨拶のように言われ続けますが、似合うかどうかは考えちゃいけない、伸ばそうという決意だけが大事だそうです。
また暖かくなってきたので、庭いじりも楽しみです。本格的なものではなく、にわかガーデニング。「庭」だけに!

Q8.最後に今回のプログラムについてひとことお願いします(聴きどころなど)。
どの曲も充実感のある作品で、区民響の一人ひとりが作品に共感しながら演奏できたら良いなと思っています。譜面に記された音符は、音の高低、長短、強弱などを表していますが、音色、重さ、深さ、スピード感、密度など感覚的なものは書かれていません。それは私たち演奏家が知識や経験、そして心で読み解いてこそ、現れてくるものだと思います。合奏という時間、そこで鳴る音全てに、心が通っていることを願っています。

先生、ご丁寧な回答ありがとうございました!
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入場整理券を入手された方は、是非忘れずにご来場ください!

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